quatre septembre

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沈黙/アビシニアン

ずっと古川日出男の「アラビアの夜の種族」を読んで見たいと思っているのに
いつまでたっても文庫オチしないので、代わりに「沈黙/アビシニアン」を買ってみました。
初古川日出男。読んだことはないくせに一方的に好意を寄せていた古川日出男。
ひそかにベルカに直木賞をとってほしかった古川日出男。

以下沈黙のネタバレあり。

久しぶりに、自我の強い文体を見た気分。読みにくいってほどではないけど、
すごい癖がある。多層的な構造と、この文体と、視点が変わること、などによってすごく
分かりにくくなっているけれど、話自体はものすごくシンプルだと思う。
悪との対決。この悪がいまいちよくわからないことと、対する善の道義っていうのが
よくわからないことによってなんだかいまいちな読後感・・・。
修一郎も、薫子も、相手が自分の身内だからやっつけたのか?そもそも主人公側に
対する客観的な視線がないことによって、読者であるわたしがこの主人公側に
入り込めない。なんか身内サークル内では批判は厳禁みたいな感じを受けました。
一人称の小説だからかもしれないけれど、それにしたって、外部もしくは第三者もしくは世界
からの批判、批判までいかなくても、客観的な判断を下される部分があっても
良かったんじゃないかと。あと、外部からの批判じゃなくても、自分で自分を客観視している
部分が欲しかったんだけど、それがまるでなかった。文体に一番酔っているのが主人公の
ような感じ。

これは、アビシニアンに行くとさらに強まって、主人公二人(特に女)に対する
いやーな感じが最高潮に達して、読むのが辛かったです・・・。自分の選んだ小数の
他者とのクローズドサークル内ですばらしくっても、読者はサークルの外にいるんだ。

なんて批判的なことを書いたけれど、やっぱりアラビアの夜の種族は読みたい。
ベルカもやっぱり読みたい。調理法はどうであれ、魅力的なモチーフを生み出す
ことのできる作家はやっぱり少ないと思う。
だからやっぱり古川日出男には好意的なままでした。
でもこの本はもう読まないや。
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by app_engineer | 2005-10-04 12:48 | 読んだ本
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日記というより週記


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