quatre septembre

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ティモレオン

またまた英語の本からの逃避。
評判が良くてずっと読みたかった、ダン・ローズの「ティモレオン」が文庫オチしたので
読んでみました。

(ちょっとだけネタバレあります。読みたいと思っている人は読まないほうがいいかも)

孤独な老人コウクロフトが飼っているかわいらしい雑種犬ティモレオンが
邪悪な(この言葉は新刊時の書評で本当に使われていた)ボスニア人に
追い出されるまで、と追い出されてから家に戻ろうとする話。

というのは、事前情報として知っていたんだけど、
そして本当にその通りの話だったんだけど!!
ことごとく予想というか、常識を外していくストーリーがおかしかった。
interestingというよりも、funnyというよりも、strangeなおかしさね。

そもそも、冒頭から、コウクロフトがオーストリア人の恋人を思い出している部分で
「オーストリア人は口ひげがあって」という描写があったので
「ああ、ヨーロッパ人の女の人って無駄毛のお手入れしない人いっぱいいるよね~」
とか読んでいたら、数ページ後に「???」となって
暫く読み進んで、やっとコウクロフトがばりばりの同性愛者だということに気がつきました。
そういうのって瑣末なことだから全然描写されていないんだよね。
そしてそれはほんとうに瑣末なことなのでそれでいいと思う。
だからわたしは自分で思うより常識に捕らわれているんだろうなって思った。

●古くから語り継がれている伝説の恋人同士は、HappyEndingで結ばれるべきという常識
●先進国の男と発展途上国の女のカップルには悲劇的な結末が待っているという常識
●ずっと看病していた親は難病の娘の臨終の瞬間に立ち会えるという常識
●さえない老境の男は、若くて美しい恋人に捨てられるという常識
●飼い主探して三千里の犬は最後でついに最後に飼い主に再びめぐり合えるという常識

そういうのをすべて裏切りながらも、悲惨にならない。どこか緩い幸せ感の漂う読後感。
そういう一杯のエピソードと、不思議な感慨をいだかせることよりもなによりも、
犬の描写のストイックさに作者の非凡さを感じました。
素人は言われて初めて気がついたよ。
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by app_engineer | 2006-06-06 13:21 | 読んだ本
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日記というより週記


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