quatre septembre

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イーリアス/オデュッセイア

ダン・シモンズの「イリアム」を読みました。

普段は、できるだけハードカバーの本は買わないようにしているんだけど
特定作家の本しか買わないようにしているんだけど、
でもこれは文庫に成るのが待ちきれずに買ってしまいました。
去年、ハイペリオン読んで本当に読書の楽しさというのを味わえたから
その感動が(まだ!)覚めてないの。本当にすごい。

で、今回も、本当にすごかった。
前回(ハイペリオン4部作)は、過去のSFのガジェットをごった煮にしまくってものすごい力技で
まとめあげた、という代物だったけれども、今度はSF色は薄れて、はっきりとホメロスの
イーリアス(とオデュッセイア?)というモチーフをものすごい力でこねくりまわしたみたいな
代物でした。力技が共通。前回に比べてなんとなく陽の印象。コメディっぽい感じが
なくもない。でも面白い。でもSFじゃないなあーと思った。なんとなく。
わたしにとってのSFは少し不思議、なんだけど、少し不思議?とか思う暇も隙もなかった。
ボテロの彫刻みたいなイメージって言えばいいのかなあ、、、、ひたすらすごい質量だった。

すごいすごい言っているだけでまともな感想かけそうにないので
思ったことを箇条書きで。もう少し考えがまとまりそうだったら
もしかしたらまたなんか書くかもだけど。

・冒頭、2ページ目かなんかの「なんとかかんとかQTしてなんとかかんとか」という
文章を読んだ瞬間、翻訳者ってすごいと思った。多分この先、一生英語を勉強したとしても
この原文を訳せる自信がない。そもそも日本語でもよく分からない・・・。

・いま、わたしは、ホメロスの「イーリアス」を完全に史実だと認識しているんだけれども
それって、シュリーマンがトロイの遺跡を発掘したあとだからそう思うんだということに
今更ながら気がつく。「イーリアス」には、当たり前のようにギリシャ神話の
神々が出てくるんだね。そういうお話なんだね。だから誰もが作り話だと思っていたときに
シュリーマンだけは史実だと信じて発掘を行ったんだ。
確かに、シュリーマン以前だったらわたしも御伽噺だと思ったかも。
だっていきなり戦場に女神があらわれて、パリスを浚っちゃったりするんだからね。
神様すごい。

・でもさでもさ、「イーリアス」が史実だと証明されたってことはさ、例えば他の
御伽噺だと思われている逸話/神話ももしかして幾ばくかの真実を内包している可能性が
あるってことよね。例えば、天照大神が岩戸に隠れて真っ暗になっちゃった、
というお話を、わたしは完全に御伽噺だと思っているんだけど
実際は本当になんらかの天候異常で日照時間が異様に少なくなったりして
各地でお日様ごいの踊りとか何とかやりまくったら天候異常がなおっちゃったような
気になった、とかぐらいの話は本当にあったのかもしれない。
火のないところに煙は立たない、とかいう話かしら・・・。

・神様の数え方って、1柱、2柱ということを初めて知った。
ひとはしら、ふたはしらって言うのかな。人間じゃないから、ひとり、ふたり、じゃないのね。
当たり前だけどすごい。でも神様が人型をしているっていうのが
なんだかなー。人型しているならひとりふたりでもいい気がする。
人型じゃない神様のが神様っぽくいいな。

・木星のモラヴェック、イオのオルフがプルースト好きなので
ちょっとプルーストを読んでみようかな、とも思った。
ダン・シモンズのすごいところって、ありとあらゆる要素を詰め込みつつ、
その要素をどれも魅力的に使うから、その使われた要素そのものにもすごく
興味が沸くんだよね。ハイペリオンのときも、ジョン・キーツがすごく気になったし。
ダン・シモンズは、教師だったんだけど、こういう先生ってすごくいい先生だったんだろうな
って思う。彼が紹介するものに興味を持たせることができるなんて。

・キャリバンがちょっとシュライクに似すぎている気がしないでもないです。

・アカイア勢(ギリシア側)とトロイア勢だったら、なんでかしらないけれどわたしは
トロイアの味方なんだな。オデュッセウスは好きだけど、アキレウスはちょっと短気すぎる
気がするし。ところで、トロイア勢の名前のが覚えやすいのは、ローマを建国したのは
トロイアの生き残りだったらしく、要するにラテン語っぽいのがトロイアのほう名前だから
だよね。今現在の言葉に近い気がする。ギリシャ語よりも。

・いままで点でしか理解していなかった人々の関係がよーく分かった。
アガメムノンはメネラオスのお兄さんで、トロイのパリスに浚われたヘレネは
メネラオスの妃。パリスのお兄さんが、トロイの将軍ヘクトルで、ヘクトルの奥さんは
アンドロマケー、カッサンドラはヘクトルとパリスの兄弟で、トロイが滅ぼされたのち
アカイア勢によって連れ去られてアガメムノンの奴隷にされるけれども
アガメムノンの妃クリュータイムネストラーによって殺されちゃう。
アガメムノンもクリュータイムネストラーに殺されちゃう。
それを恨んだアガメムノンの子オレステスは母親を殺しちゃうわけだ。
(これはイーリアスの後日談だよね)
みんな親戚だし、みんな兄弟だし、みんな殺しあうわけで敵味方に
分かれているけれども複雑に絡み合っているなあ。

・本家本元の「イーリアス」が読みたくなって丸善にいったんだけど見つからなかったので
店員に「ホメロスのイーリアスってどこにありますか?」って聞いたら
「『ホメロスのイーリアス』という本ですか?」とか聞いてくるから
「ホメロスは作者です!」と軽く憤慨してみたんだけど、
しばらくしてから「ありません」とか言うから今度は本気で驚いて
「そんなわけはない」といって何で検索したのか書かせて見たら
『イーディアス』で検索してた・・・。
・・・。
・・・。
そんな書店員いていいのかしら・・・。
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by app_engineer | 2006-09-20 01:55 | 読んだ本
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日記というより週記


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